難民支援ボランティア体験談

難民支援活動で感じる無力感との向き合い方:成果が見えなくても活動を続けるための視点

Tags: 難民支援, ボランティア, 無力感, モチベーション維持, 体験談, 心のケア

難民支援活動に従事されている皆様、日々の活動お疲れ様でございます。このウェブサイトでは、皆様が直面されている様々な課題や感情について、率直な体験談を共有することで、少しでもお力になれればと考えております。今回は、支援活動において多くのボランティアが経験するであろう「無力感」と、それとどのように向き合い、活動を継続していくかについて、私の経験から得られた視点をお伝えいたします。

支援活動における無力感:具体的な経験から

難民支援の現場では、日々様々な状況に直面いたします。希望に満ちた再出発を支援できる喜びがある一方で、私たちの努力だけではどうにもならない事態に遭遇することも少なくありません。特に、支援を必要としている方々の状況がなかなか改善しない、あるいは予期せぬ困難が重なり、かえって悪化してしまうような場面では、自身の非力さや、活動全体の意義そのものに疑問を感じ、深く無力感に苛まれることがあります。

私自身、かつてあるご家族の住居確保と就労支援に尽力した経験がございます。行政機関や地域の支援団体とも連携し、物件探しから面接練習、履歴書作成まで、できる限りのサポートを行いました。しかし、言語の壁や文化的な背景、あるいは社会情勢の変化といった複雑な要因が重なり、数ヶ月にわたって具体的な進展が見られない時期が続きました。

この時、私は「なぜこれほど支援しても状況が変わらないのか」「自分のやり方に問題があるのではないか」という強い焦燥感と、支援対象者の期待に応えられない申し訳なさから、深く落ち込みました。夜中に支援計画を見直し、昼間は関係機関を奔走するという日々を送りながらも、目に見える成果が得られない現実に、ボランティア活動を続けることへの意義を見失いそうになったこともございます。これは、多くのボランティアの方々が経験されるであろう、支援活動の「負の側面」の一つであると認識しております。

無力感との向き合い方:視点の転換と小さな変化の認識

このような無力感に直面した時、私は自身の活動を一旦立ち止まって見つめ直す機会を得ました。そして、いくつかの重要な気づきを得ることができました。

まず、「成果」というものをどのように定義するか、という点です。私たちはとかく、支援対象者が自立し、安定した生活を送れるようになることを「最終的な成果」として目標設定しがちです。しかし、そこに至るまでの道のりには、数えきれないほどの小さなステップが存在します。例えば、私たちとの会話を通じて笑顔を見せてくれた瞬間、新しい言葉を一つ覚えた時、自ら情報を調べようと一歩踏み出した姿、あるいはほんの少し心が軽くなったと話してくれた時など、これらもまた「支援の成果」として捉えることができるのではないでしょうか。

私の場合、住居と職が見つからず苦悩していたご家族が、ある日「あなたと話すと、少し心が落ち着きます」と仰ってくださったことがございました。その言葉は、私にとって大きな転機となりました。直接的な問題解決には至っていなくとも、彼らにとって私たちの存在そのものが、安心感や希望を与える一助となっているのかもしれない、と考えるようになったのです。

この経験から、支援活動の成果は常に目に見える大きな変化だけではないことを学びました。時に、それは非常に微細な変化であり、あるいは形にならない心の支えである可能性もございます。重要なのは、そうした「小さな成果」や「目に見えない影響」にも目を向け、それを自身の活動の糧とすることです。

活動を継続するための具体的なヒント

無力感と向き合い、支援活動を継続していくためには、以下のような視点や工夫が役立つと実感しております。

  1. 「共に歩む」という視点を持つ: 支援は、私たちが一方的に「与える」行為ではなく、支援対象者と共に困難な道を「歩む」プロセスであると捉え直すことが大切です。問題解決の全てを自分一人で背負い込むのではなく、彼らが自らの力で一歩踏み出せるよう、伴走することに焦点を当てるのです。
  2. 自己肯定感を保つ工夫: 無力感は、自己肯定感を著しく低下させます。小さなことでも構いませんので、今日の活動で「できたこと」「貢献できたこと」を日々振り返り、自身を肯定する時間を持つことが重要です。例えば、「今日は相手の話をじっくり聞くことができた」「笑顔を引き出せた」といった些細な事柄でも良いのです。
  3. 他のボランティアとの情報共有と連携: 同様の困難に直面しているのは、決してあなた一人だけではありません。定期的に他のボランティア仲間や経験豊富なコーディネーターと情報交換を行い、悩みを共有することで、新たな視点や解決策が見つかることがあります。また、共感を得ることで孤独感が和らぎ、心理的な負担も軽減されます。
  4. 休息と自己ケアの重要性: 心身ともに疲弊した状態では、前向きな気持ちを維持することは困難です。意識的に休息を取り、趣味の時間やリラックスできる環境を確保するなど、自身の心のケアを優先してください。無理をして活動を継続しようとすると、燃え尽き症候群に繋がりかねません。

結びに

難民支援活動において無力感は避けて通れない感情の一つかもしれません。しかし、その感情を否定するのではなく、活動の一側面として受け入れ、そこから新たな学びや視点を得ることで、私たちはより深く、より長く支援に関わることができるのではないでしょうか。

目に見える成果が得られなくとも、あなたの活動は必ず、誰かの人生に光を灯し、希望を与える礎となっています。この情報が、日々の活動に励む皆様にとって、少しでも支えとなりますことを願っております。